Blues Mobile Project FILE#150 遊ばせません

「FILE#149_遊んでます」の続き。

今回のテーマは「徹底的にリペア」。そう言ってしまった以上、今まで交換していないパーツも交換しなきゃね。

そこで今回の主役「カプラーポット」登場。カプラーポットって要はカプラー本体のこと。

この部品、当然メーカー品は既に供給終了している。似たような部品は社外メーカからリプロ品が出ているがマニュアルステアリング用ばかりで、MONACOに合うパワステ用はほとんど無い。今回は偶然eBayで見つけて入手できた。見かけは汚いがメーカー品のNOS(New Old Stock)の新品!


全体に付着している白い粉みたいなものはワックスっぽい。素材が鉄の部品だからサビ止めのために塗ってあるのかな?

それでも所々にうっすらとサビが乗っている。


とりあえず真鍮ブラシでワックスとサビを掃除しておこう。


部品のビニール袋に貼ってあった出荷ラベルは当時のもの。ちょっと読んでみよう。

えーと、出荷日は1986年10月16日で、出荷先はイリノイ州のS&W MOTORS。

出庫が今から28年前ですか。でもeBayの出品者は個人だったし、ニューヨークから送られてきたってことは・・・どんな経緯があったのだろう?まあ、どんな理由にせよ28年もの間、誰にも使われなかったお蔭でオイラが入手できた訳だだし、不思議な国アメリカだから細かい事は気にしちゃいけない。


話しを元に戻そう。掃除したカプラーポットはサビ防止のためにシャシーブラックで塗装。


新旧部品。奥が新品で、手前が今まで使っていたもの。

互換性はバッチリ。そりゃそうだ、だって部品番号が同じ事を確認してからポチッたからね。

ちなみにeBayの出品者は細かな適合車種は分からない人だったけど、オイラにはパーツリスト(FILE#005 生活必需品?)があるから、現品の部品番号さえ判れば適合確認はバッチリ。


これがカプラーポットの内側。

左側が今まで使っていたもので、赤点線で囲んだ部分にシューとの摩耗痕がある。

見た目は大した摩耗じゃないが、指で触ると確実に凹んでいる。

しかし、このカプラーポットは恐らく新車装着のものだろうから、走行約15万Kmでもこの程度の摩耗で済んでいるってのがスゴイと思うね。

ただカプラーポットが凹んだぶんだけガタツキが生じ、確実にステアリングの遊びの原因になる。


さて、カプラーポットも準備できたのでステアリングシャフトの組み立てと行こう。

前回と同様にシューとグリス・シールなどカプラーポット以外の部品一式も全て新品に交換する。

これらの部品は今でも普通にメーカー品が手に入る。

ただ判らないのは1.5cm角の紙片の使い道。4枚入っているのだが、部品に説明書は付いてこないし、サービスマニュアルにも記載は無い。こういうのって改善部品だったりする事もあるから、すごく気になる。でも判らない・・・。

判らないものは仕方ないので無視。


組み立てはグリス・シールとリテーナをステアリングシャフトに通してからシューピンを圧入。

圧入と言ってもハンマーで叩き込むだけ。両方の突き出し量が同じになるようにね。


一応仮組みして各部品の収まり具合をチェック。

シューピンにはシューが刺さって、シューの内側にシュースプリングが入る。


仮組みした状態でカプラーポットに入れてみる。

シュースプリングを押し返す様にシューを押しながらカプラーポットに入れる。

ステアリングシャフトはシューピンを軸に上下に動き、シューが外側の山なりの形状に沿って動く事で左右に動く。更にシュー自体がカフラーポットの中を前後方向に動く事でステアリングシャフトがテレスコピックする仕掛けになっている。


仮組みに問題は無かったので、本組みに移ろう。

初めにカプラーポットの底にグリスを入れる。今回はシューとカプラーポットの接触面の極圧を重視してモリブデングリスにしてみた。モリブデンは高温と水に弱いと言われているが、使用温度範囲が160度のものにしたし、カプラーポットは元々水が掛からない所に付くうえにグリス・シールで封印するので大丈夫だろう。


ステアリングシャフトをカプラーポットに差し込んで、更にグリスを充填したらグリスシールの封印。

リテーナのツメをカプラーポットの突起に引っ掛かるように折り曲げる。

このツメを曲げる作業、こっちのツメを曲げる間に、あっちのツメが外れ、それを直そうとすると元のツメが外れと、毎回かなりイライラさせられる。今回オイラは万力とCクランプを使って、リテーナをカプラーポットに押し付ける様にしておいて、ツメをポンチで叩いて曲げた。なんか今日は万力が大活躍だ。


おっといけない、抜け止めピンをを忘れるところだった。


抜け止めピンはカプラーポットの表面とツライチになるまで打ち込めばOK。


ここまででステリングシャフットASSYの組み立てが完了。


さあ、ステリングシャフットASSYを車体に戻そう。

スプラインを合わせながらカプラーをギヤボックスシャフトに差し込んだら、フレキシブル・カプラーのボルトを締結。

最後にカプラーのロールピンを打ち込む。


ウマを外して車体を地面に下ろしたら全ての作業が完了。

試しにエンジンを切った状態でステアリングを左右に振ってみると、ステアリングシャフトとカプラーの動きに微妙にあった遊びが無くなっている。→Movie

実際に走ってみると効果てきめん。ステアリングの遊びが今までの半分以下に減ってステアリングフィールがものすごく良くなった。

なんだ、遊びが無くなったんじゃないのかって?

それは無理。今のカプラーで遊びを無くす事はの構造上不可能。更に遊びを減らすならカプラーを社外品のユニバーサルジョイントに換装するしかない。

でも40年前のアメ車にそこまでしてもねぇ。MONACOってクルマの性格には少々ダルなステアリングの方が合っていると思うな、オイラは。

 

本日の教訓「たかが万力、されど万力、うまく使えば専用工具に負けず劣らず。」

 

作業時間は3.5時間。

 

2014.11.02


Prev.                    Next