FILE# 038で取り外したデスビの解体。
デスビキャップを外すとローターとピックアップが見えるけど、その下はどんな構造になっているのかな?
まずはドナーとなるデスビをよ~く観察。汚いですね~、バキューム進角のダイアフラムも年季が入ってますね~、きっとアウトでしょう。
それではオペに取り掛かりましょう。まずはシャフトの頭に入っているフエルトを摘出。
このフエルトには潤滑用にオイルが染み込ませてあります。
フエルトを外すとシャフトの中にもう一本のシャフトが貫通していて、抜けない様に赤点線のようにサークリップがはまっている。サークリップはラジペンをこねくり回してチカラ技で外す。
外したフエルトとサークリップ。
サークリップはこんな変な形。
続いて下側のカラーの取り外し。
カラーはシャフトに圧入されたピンで留まっているので、ピンを打ち抜く。
ハイ、ピンが外れました。
カラーとデスビケースの間にワッシャーが1枚入っていた。
今度はバキューム進角用ダイアフラム外し。
ダイアフラムをデスビケースに固定しているネジ2本を外し、ダイアフラムを引っ張り出す。
ダイアフラムのロッドの先端がピックアップの台座に引っ掛かっているので、こじりながら引き出す。
ピックアップの台座の下側の金具をデスビケースに固定しているネジ2本を外す。
ここでまでくるとシャフト全体がデスビケースから引き出せる。
デスビケースのカップの中。
オイル・スラッジのガンコ汚れがすごいです。
製造日が76年と刻印されている。
あれっ、オイラの74年型のMONACOに76年製のデスビってどういう事!?
どうやら、このデスビは他のクルマからパクってきた物だね。
こっちが抜いたシャフト。
思っていたよりメタルと当たる部分にキズが入っているが、まぁペーパーで修正できる範囲かな。
次に抜くのはリラクター(銀色の歯車みたいなやつ)。
リラクターはシャフトの溝にキー・ピンを噛まして固定してある。
そこで、プーラーを使ってリラクターを引き抜く。
強く固定されていないのでプーラーを手で締めるだけで抜けた。
リラクターが外れるとピックアップの台座金具が抜ける。
台座金具を外すとガバナーが現れる。
ガバナーは重りになっていて、普段はバネでシャフトの中心に引っ張られているが、エンジンの回転数が上がってシャフトの回転速度が増すと遠心力でガバナーが徐々に外に広がり、リラクターを固定しているシャフトを微妙に回わす(進角する)仕組みになっている。
リラクター固定用のシャフトを外すとガバナー本体が出てくる。
ガバナーから突き出ているリラクターの金具を押すピンが長年の使用で磨耗していますね~。
ガタの原因になるので何とかせねば。
ガバナーを取り外すと台座が残る。
デスビシャフトの分解はここまで、これ以上はバラせません。
こんどは外したピックアップ。
リラクターの出っ張っている部分を検出してイグニッション・モジュールに点火信号を送るのがお仕事。
金具が2枚、重なっているように見えますが、その通り。
ピックアップの台座(銀色っぽい金具)は、固定台座(金色っぽい金具)の上をスライドできるようになっていて、バキューム・ソレノイドのチカラでピックアップの台座を動かして進角する仕組みになっている。
バキューム進角はエンジン負荷が高い時に動作するらしいが、オイラのMONACOはバキュームを殺してあるのでバキューム進角しませ~ん。
だけど乗っていて不具合は無い!
ピックアップ台座の裏。
黒いY型の金具はピックアップ台座のピボット・シャフトを固定しているリテーナー。
リテーナーを外すとピックアップ台座と固定台座が分離できる。
バラした部品はサビが出ていたのでサビ取り液に漬けてしばし放置プレイ。
他の部品もパーツクリーナーを使って掃除。シャフトは#1200のペーパーを当てて磨く。
これで解体完了。
解体して判ったことは
・機械的に壊れ易そうに見えるのはガバナーのバネぐらい。
・電気部品はピックアップだけ。寿命ってどれくらいなんでしょうかね~。
・構造は意外と簡単。だけど、ピックアップもガバナーのバネも交換するにはデスビをバラさないと無理。
オイラ的な結論は
・シャフト・メタルの磨耗を防ぐためにオイル管理に気を付けるべし。
・個々の予備パーツを持っていても路上修理は無理。予備として持つならデスビ丸ごとにすべし。
2008.04.28