年末の大掃除
と言う事で、今回は普段手の届かないところを綺麗にしよう。
それは何処かと言うと、ミッション・ケースのシフト・シャフト周り。
ミッション・ケースのシフト・シャフト周りは、真下からはミッションパンの陰になって見えないし、ミッション・ケースの上方はボディのフロアパンなので当然、真上からも見えない。かろうじてエンジンルームから覗ける程度。なので普段は手が届かないところ。
だけど、シフト・シャフトって何?
シフトのリンケージは上図のようになっていて、シフト・レバーのP~1に連動してミッション・ケースから突き出たシャフトを回わす事でミッション内のP~1のシフト・ポジションを変えてるんだな。このシャフトが「シフト・シャフト」ってヤツ。
これが、現状のシフト・シャフト周り。極めてヒドいドロドロ状態。
普通ならこんなに汚くはならない。たぶんシャフトのシールがダメになってるのだと思うが、あまりに汚れがひどいのと、位置的にシールが目視できないから良くわからん。よ~し、こうなれば思い切ってシール交換してしまえ。
写真の下の矢印がシフト・シャフトのリンケージで、上の矢印はスロットル・シャフトのリンケージ。
シフト・シャフトの中心にはスロットル・シャフトと呼ばれる別のシャフトが貫通していて、スロットル開度に応じてスロットル・シャフトを回す仕組みになっている。GM車のVTケーブルと同じ役目。
さあ、気合を入れてシール交換を始めよう。
交換作業のやり方の選択肢は二つ。
ひとつは、サービス・マニュアルに書いてあるミッション・ケースの外側からのシールの引き抜き。
但しミッションの周囲に作業スペースが無いから、ミッションを降ろさない限り引き抜きの作業は無理だね。
もうひとつは、ミッション・ケースの内側からのシールの叩き出し。
こっちの方法はミッションをオイルパン側からバラさないといけない。
どっちの方法にしても相当面倒な作業だわ。
で、オイラの選択は内側からのシールの叩き出しの方。ミッション脱着よりはマシでしょう。
先ずは汚いリンケージを外す。するとシフト・シャフト本体が現れる。
交換するシールは、スロットル・シャフト(細シャフト)の付け根に1個と、シフト・シャフト(太シャフト)の付け根に1個の合計2個。
次にミッションのオイルパンを外してしまう。
更に、バルブボディも分離・・・。
バルブボディはミッション・ケースへの固定ネジ10本を緩めれば外せるが、バルブボディから後方に伸びているパーキング・ロックの制御ロッドは、外す時にちょっと抵抗するのでグルグリしながら引き抜く。
それとバルブボディにはATFが残っているから、できるだけ水平を保って外さないとATFがこぼれ出すよ。
これがシフト・シャフトさん。
ここまでバラして、ようやく本題のシール交換ができる。
1個目のシール交換はスロットル・シャフトのシール。
おっと、バルブ・ボディのオイル経路に作業中のゴミが入らないように養生しなくちゃ。
Eクリップを外してワッシャー状のリテーナを外すとシール本体が現れる。ゴム製なのでピッキング・ツールで掘り起こす。
シールが外れたらケース内に残ったゴミを掃除して、新品シールを押し込む。
リテーナとEクリップを元通りにハメれば1個目のシール交換完了。
続いて2個目のシフト・シャフト シールはミッション・ケースにハマっている。
ミッション・ケースの内側からシールのフチにマイナスドライバを当てがってハンマー攻撃で叩き出す。
外したシールと新品シール。
シールは外れたけど新品シールのミッション・ケースへの圧入方法がこれまた問題。
小さなシールなので普通ならプラハンで叩いて打ち込むのだが、フロアパンとの隙間が狭くてプラハンを振るスペースが無い!
そこは無い知恵を絞ってCクランプを使って圧入した。
ドロドロだったリンケージのレバーは、いつもの様に掃除してからシャシーブラックでペイント。
バルブボディを取り付け、リンケージを元通りに組んでと。
オイルパンを外したので、ついでにATFフィルタも新品に交換。
この後、オイルパンを付けてKendallのATFを入れて作業完了。
単純にシール交換だけなら30分ほどの作業だが、そのためのバラしと組み付けの作業が多いからトータルの作業時間は4時間強。たかがシール、されどシールだよ、本当。
シール交換後、100Kmほど乗り回したがシールからのオイル漏れは無し。
2010.12.19